このシリーズでは、ガーデンデザイナーのスチュアート アクステルが、輸入資材にスポットをあててその背景となる情報やその使い方などを紹介してゆきます。 翻訳と、後半の植物のコーナーはガーデンアーティストの秋元ふみ子によるものです。
3. チーク材のガーデン ファニチャー(家具)
英国人は庭に座って過ごすのがとても好きです。 家具は長い目で見て選ぶべきで、いきおい最終的に選ぶのはチーク材のものとなります。
チークと呼ばれているのは俗名で、正式には Tectona grandis
という、クマツヅラ科またはアカネ科の落葉広葉樹で世界的に有名な高級銘木であり、原産国は主に東南アジアです。 産地の名をとってタイチ-クとかインドネシアチークとか呼ばれていますが、現在タイチークは伐採が禁止されており、カンボジアやミャンマーなどの原木がタイで加工され、タイチークとして出回っています。インドネシアで1816年にオランダによって計画植林されたチークは現在では政府の管理下にあります。 最近では原木の輸出禁止などにより、現地で加工されたものだけが輸入されており、そのことから更に高価になり、市場に出回りにくくなっているのが現状です。
チーク材は昔から耐久性と品質によってよく知られてきましたが、インドでは200年前のチークの木片が完全な形で発見されています。
チーク材の特徴
チークは成熟すると46mもの樹高となり、まっすぐな幹で、タバコの葉に似た形の30センチ四方くらいな大きな葉を持ちます。 細かく白い花も咲かせます。 木質が重硬で伸縮や反張が少なく、表面がワックスを塗ったような木肌で、耐久性・腐食性にも優れていることから、高級家具だけでなく床材、内装材、ドアや高級ヨットなど船舶の内装材や甲板材としても使われています。 また彫刻の材料などにも使われます。腐食性に優れていることは、チークがガーデン ファニチャーとして最適だということを示していると思います。 庭においては腐食性に優れていることが第一条件だからです。 屋外で使用すると木肌の色が少しずつ褪せて最期にはグレーになってゆきますが、その色の変化も味わい深いものです。長く使われることで、他の多くの木を切らずに住むという利点もありますね。
チーク材のガーデンファニチャー
庭を造るときには、施工上必要な材料だけでなく、別の要素も考慮しなくてはなりません。ガーデンファニチャーは、ガーデンにおいていろいろな機能を果たします。 りラクゼーションや飲食としてだけではなく、ガーデンのアクセサリーやフォーカルポイントとして庭を引き立て、よい雰囲気を創り出しているかということも考えてみるとよいでしょう。
日本で手に入れることのできるチーク材のガーデンファニチャー
3人掛け):
英国のベンチで最も有名 |
オイル処理した折りたたみ式テーブル |
表面を研磨処理したプランターはパティオやアプローチに |
プロのテクニック
通常、チークの家具は2つの状態で購入することができます。
オイル処理したもの
チークオイルで処理したものは通常のブラウンよりも色が濃く、つやもあります。もっともチークそのものから出る油分があるので屋内、屋外を問わずメンテナンスはいらず、またオイル処理することにより寿命が延びるということでもありません。 ただ紫外線によって色が褪せるのを遅らせる働きがあります。この種類のものに関しては定期的にオイル処理を施す必要が出てきます。
細目で研磨したもの
チーク材のファニチャーを屋外に放置すると太陽の紫外線などによって材木の持つ色が褪せてきて、 少しずつシルバーグレーになります。写真はpatinaですが、年月を経て非常に印象的な表面になっています。この自然の時が作り出した表情は非常に魅力的であるだけでなく、周りの景色ともよく溶け込んでいます。チーク材の家具は管理がしやすいうえ、長い間何の作業もしなくてよいのが魅力です。
チークのメンテナンス
もし洗浄が必要なときはやわらかいブラシなどで、薄い石鹸水(ぬるま湯がよい)などを使用します。 その後水でよく洗い流します。 金属製のたわしなどは、金属片が木目などに残ると錆が出たり脱色したりする恐れがあります。 それでも落ちないものがあれば細目の紙やすりなどで取り除くことができます。その場合、木目の方向に沿ってだけ紙やすりを使用するものとします。その後はもともとオイル処理をしていたものについては、オイルを塗るも良し、そのままの状態で放置するも良し、です。紙やすりで研磨した部分は時間が経つに連れて目立たなくなります。
ガーデンアーティストFumikoの植物よもやま話とおすすめプランツ
庭ができた後で、そこに置くアクセサリーや、ベンチやテーブルなどのファニチャー(家具類)を考えるのは楽しいものです。 たとえば木製のベンチなどを設置する場合、そこに座ったときのことを考えて、その周りに配置する植物もあらかじめ決めておくと、お互いに引き立て合って、すばらしい空間になることでしょう。 夏には緑陰を提供し、冬には暖かな日差しを受けられるよう、後部や脇には落葉のものが合うような気がしますが、それも条件によりますね。隣地に接しているような場合は目隠しもかねて後部にコニファー類など常緑のものを列植したり、あまり重くならないようなタイプの樹木を選ぶと素敵です。足元にはグランドカバー類も似合いますね。 日当たりなども考慮して植物を選んでみてください。 ベンチに似合いそうな、いくつかの植物をあげてみまよう。
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ロサ ムルティフローラ Rosa multiflora/Sp
白い一重の小輪。 日本のノバラの原種で密生した花を咲かせる。 つる性で枝は柔らかく丈夫で育てやすいため、壁面やパーゴラなどに這わせて仕立てる。 甘い香りと秋に色づく実も楽しめる。花期は5〜6月、樹高は2.5〜3.0mに。 |
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ジギタリス Digitallis
ゴマノハグサ科の宿根草。 鐘形の小花が高く伸びた花茎に連なって咲く。草丈が100〜150cmと高く、印象的な草姿は効果的。 半日陰でもよく咲く。 水はけの良い用土で。花期は6〜8月。 一年目は大株に育て、翌年によい花を咲かせる。 花色は白、桃、紫。
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プルプブルーへブン Blue
heaven
コロラドビャクシン。 手をかけなくても美しい狭円錐形になる。 青緑色の美しい針葉で 樹高は5〜6m。 日当たりがよければ1年中葉色が灰白色を帯びた美しい緑青色。条件が満たされなければ濃い青色となる。生長はやや遅い。 |
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スカエボラ・ブルーファンフラワー Scaevola aemula `Blue Wonder`
クサトベラ科の宿根草で這性。群れて咲く青紫色の花は四季咲きで花期は5〜11月と長い。 日向と水はけ。比較的乾燥を好む。 草丈は40cm。 ブルーファフラワーのほかに最近では白花も出ている。
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